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[改正民法] 第三者弁済 司法試験・予備試験・司法書士試験

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はじめに

改正民法の第三者弁済に関する短答・択一式問題を作成しました(各種国家試験の過去問改題も含む)。

少々紛らわしい問題となっています。

しかし、改正民法の第三者弁済のポイントと思われる肢を中心にして、旧民法の基本的知識を加える形で問題を作成してあります。

本問題は、基本的事項に関する問題といえるでしょう。

(なお、改正民法は2020年4月1日施行の民法のことを指します。これに対比して、2020年3月31日まで施行の現民法を「旧民法」と記載します。)

*本問題は、2020年4月以降に実施される司法試験。予備試験、司法書士試験のための対策問題です。

正解は(参考文献)の下に記載してあります。

 

改正民法 第三者弁済

[ 問 題 ]

債権者をA、債務者をB、第三者をCとした場合における金銭債務の弁済に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

 CがBの意思に反してAに弁済した場合において、Cが親友Bの窮状を見かねて弁済したにすぎず、その弁済につき正当な利益を有しない場合には、その弁済がBの意思に反することをたとえAが知らなかったときでも、その弁済は無効である。

 

 Cが親友Bの窮状を見かねてBの委託を受けることなく独断でAに弁済したにすぎず、その弁済につき正当な利益を有しない場合において、その弁済がBの意思には反しないが、Aの意思に反するものであるときは、その弁済は無効である。

 

 弁済につき正当な利益を有しないCが親友Bから委託を受けて、Aに弁済をした場合において、その弁済がBからCへの委託によるものであることをAが知っていたときには、たとえその弁済がAの意思に反するときでも、その弁済は効力を有する。

 

 物上保証人であるCがAに弁済した場合であっても、AとBが第三者の弁済を禁止する旨の合意を行っていたときには、その弁済は無効である。

 

 借地上の建物賃借人Cは、建物(所有者)賃貸人Bがその建物敷地(所有者)の賃貸人Aに対して負っている地代債務につき、Bの意思に反して弁済することができない。

1 1個    2 2個   3 3個   4 4個   5 5個

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解 説

 

ア 誤り

以下に正しい肢に書き換えます。

CがBの意思に反してAに弁済した場合において、Cが親友Bの窮状を見かねて弁済したにすぎず、その弁済につき正当な利益を有しない場合には、でも、その弁済がBの意思に反することをたとえAが知らなかったときでも、には、その弁済は無効である。効力を生じる。

(正解の肢)

CがBの意思に反してAに弁済した場合において、Cが親友Bの窮状を見かねて弁済したにすぎず、その弁済につき正当な利益を有しない場合でも、その弁済がBの意思に反することをAが知らなかったときには、その弁済は効力を生じる。

 

旧民法474条では、事実上の利害関係しか有さず、法律上の利害関係を有しない第三者(「正当な利益を有しない第三者」)による弁済が、債務者の意思に反して行われた場合、その弁済が債務者の意思に反することについての債権者の知・不知にかかわらず、弁済は無効とされていました。

「債務者の意思に反すること」については、債務者がその意思を表示したことを要せず、諸般の事情から反対の意思が認定されます。

そうすると、弁済受領後に「債務者の意思に反すること」が債権者において初めて判明した場合ですら、その弁済は無効となり、債権者の不利益のもとで債務者が保護を受ける結果となってしまいます。つまり、債権者は給付物を第三者に返還しなければならなくなります。

そこで、改正民法474条2項ただし書は、「債務者の意思に反することを債権者が知らなかったとき」には、弁済は効力を生じる、として改正しました。

 

改正民法 (第三者弁済)


第474条 債務の弁済は、第三者もすることができる。

2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。

3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。

4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。


 

 

 

イ 正しい

(正解の肢)

Cが親友Bの窮状を見かねてBの委託を受けることなく独断でAに弁済したにすぎず、その弁済につき正当な利益を有しない場合において、その弁済がBの意思には反しないが、Aの意思に反するものであるときは、その弁済は無効である。

改正民法474条3項本文は「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。」と規定しています。

すなわち、正当な利益を有しない第三者による弁済は、債務者の意思に反して行われた場合だけでなく、「債権者の意思に反して」行われた場合においても、その弁済の効力は生じないと改正されました(弁済の無効)。

 

 

ウ 正しい

(正解の肢)

弁済につき正当な利益を有しないCが親友Bから委託を受けて、Aに弁済をした場合において、その弁済がBからCへの委託によるものであることをAが知っていたときには、たとえその弁済がAの意思に反するときでも、その弁済は効力を有する。

改正民法474条3項本文は、正当な利益を有しない第三者による弁済は、債務者の意思に反して行われた場合だけでなく、「債権者の意思に反して」行われた場合においても、その弁済の効力は生じないことを原則としています。

しかし、改正民法474条3項ただし書は続けて、「第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。」と規定しています。

これは、正当な利益を有しない第三者による弁済が、債権者の意思に反する場合においても、その弁済が債務者の第三者への委託によって行われたことを債権者知っていたときは、その弁済は効力を有する、ことを規定しています(弁済の有効)。

したがって、法律上の利害関係を有しない第三者Cによって行われた第三者弁済において、その弁済が債務者Bの第三者Cへの委託によるものであり、これを債権者Aが知っているときは、たとえその弁済が債権者Aの意思に反するものであっても、その弁済は有効となります。

 

 

エ 正しい

(正解の肢)

物上保証人であるCがAに弁済した場合であっても、AとBが第三者の弁済を禁止する旨の合意を行っていたときには、その弁済は無効である。

改正民法474条4項は、「前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。」と規定しています。

すなわち、債権者と債務者が第三者の弁済を禁止する旨の合意を行っているときは、弁済をするについて正当な利益を有する者である第三者による弁済であっても、その弁済は効力を有しないとしています(弁済の無効)。

したがって、物上保証人Cは、弁済をするについて正当な利益を有する第三者ではあるが、債権者Aと債務者Bの契約当事者間の第三者弁済禁止の合意により、弁済をすることができない。

その結果、債権者Aは、物上保証人Cの弁済の提供に対して適法に弁済の受領拒絶をでき、債権者遅滞(受領遅滞)とならない。

この点についても、注意が必要でしょう。

 

 

 

オ 誤り

以下に正しい肢に書き換えます。

借地上の建物賃借人Cは、建物(所有者)賃貸人Bがその建物敷地(所有者)の賃貸人Aに対して負っている地代債務につき、Bの意思に反して弁済することができない。できる。

(正解の肢)

借地上の建物賃借人Cは、建物(所有者)賃貸人Bがその建物敷地(所有者)の賃貸人Aに対して負っている地代債務につき、Bの意思に反して弁済することができる。

 

弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者や債権者の意思に反して弁済することはできませんが、弁済をするについて法律上の利害関係を有する第三者は、債務者や債権者の意思に反しても弁済することができます。

改正民法474条2項・3項の規定は、弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者による弁済に関して適用される規定であって、弁済をするについて法律上の利害関係を有する第三者(正当な利益を有する第三者)に対しては適用されないからです。

建物(所有者)賃貸人であるBがその建物敷地(所有者)である賃貸人Aに対して負っている地代債務につき、弁済を怠りAにより債務不履行解除がなされると、建物賃貸人Bに対しては建物去土地明渡しの判決が、借地上の建物賃借人Cに対しては建物退去土地明渡しの判決がそれぞれ言い渡されます。

よって、借地上の建物賃借人Cは、建物賃貸人Bがその建物敷地の賃貸人Aに対して負っている地代債務の支払いにつき、法律上の利害関係を有します。

したがって、借地上の建物賃借人Cは、建物賃貸人Bがその建物敷地の賃貸人Aに対して負っている地代債務につき、Bの意思に反してでも弁済をすることができます。

 

(参考文献)
民法(債権関係)改正法の概要 潮見佳男 著 一般社団法人金融財政事情研究会
詳解 改正民法 潮見佳男・千葉恵美子・片山直也・山野目章夫 編 商事法務
一問一答 民法(債権関係)改正 筒井健夫・村松秀樹 編著 商事法務
民法Ⅲ-債権総論[第4版] 野村豊弘・栗田哲男・池田真朗・永田眞三郎・野澤正充 著 有斐閣
Before/After 民法改正 潮見佳男北居功高須順一赫高規中込一洋松岡久和  編著 弘文堂
など

正解 正しい肢はイ・ウ・エの3個で、正解3である。

以上の記述の正誤につきましては、是非、ご自身の基本書等によってご確認ください。

 

 

 

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