短答・択一知識 緊急集会 憲法 – 司法試験-司法書士試験-行政書士試験とエトセトラBLOG

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短答・択一知識 緊急集会 憲法

投稿日:2017年9月1日 更新日:

 はじめに

緊急集会についての知識を準備しておくと,短答,択一においていざという時,役立つことがあるかもしれません(殊に司法試験に限って言えば,ここまでの知識が求められているとの評価が可能でしょう)。

本番でいきなり緊急集会について問われれば,準備していない限り,その問題は恐らく予備校でよく見かける「難易度表」でいうところの「難」の部類に入り得る問題と言えましょう。

言うまでもなく単純知識問題は,知っているか知っていないかで問題の難易度が変化します。多くの受験生が準備手薄であろうところの知識問題が,一般的に「難」になり得る問題だと言えましょう。

受験生一般が使用しているであろう基本書に書いてはあるが,重要性の評価が低く読み飛ばしがちな傾向にあったり,あるいは過去問末出題であったり,また試験結果の実際の正答率など色々なファクトを分析した結果,予備校は「難易度」をレジュメや過去問集等に記載するのでしょう。ここでいう「難」は,そういう意味で想定したところの「難」です。

いずれにせよ知識問題は,知っていれば瞬時に答えが出て解答が波に乗る一方で,躓いて時間をとられると調子が崩れます。調子の乗りのよしあしが,短答,択一の全体としての正答率に影響を及ぼします。

 

そこで,「教授」と「学生」の対話形式を通じて,緊急集会についての知識確認をするため,以下の対話文を作成してみました。さらに,基本書,テキスト等により,ご確認なされるならば,より正確で漏れのない知識になろうかと思います。

 

(なお,試験勉強においては,「基本」が大切であることはご案内のとおりです。「基本」を超えて,奇を衒った勉強をすることを推奨しておりません。勉強の合間に当サイトを訪問して下さった閲覧者の方々が,「ちよっと手が届かなかったなあ・・。まあ,読んでみるか。」といった軽い気持ちでお読みいただける記事を作成したものです。普段の勉強において,「基本」こそが大切である事に変わりはありません。念のため。)

 

 

 

 

 

 教授と学生の対話

教授
緊急集会を求める権能は内閣のみにあるのですか?それとも内閣に加えて議院にもあるのですか?
学生
緊急集会を求める権能は,内閣のみにあります。

 

(長尾・日本国憲法[第3版]p369[全訂第4版]p206,野中ほか・憲法Ⅱp121参照)

 

 

教授
緊急集会が行われるのは,どういう場合ですか? 
学生
衆議院の解散中に,②国に緊急の必要がある場合であって,③内閣の求めによって行われます(憲法54条2項但書)。

 

 

 

教授
解散によることなく,衆議院議員の任期満了によって衆議院不存在となった場合においても,緊急集会は開かれるのですか? 
学生
議員の任期満了の場合においても,理論上,緊急集会の必要は考えられますが,憲法はそういう場合を想定しておりませんので開かれません。

 

(佐藤(幸)・日本国憲法論p452参照)

 

 

教授
緊急集会において,会期の定めはありますか? 
学生
いいえ,緊急集会には,会期の定めはありません。すべての必要案件が議決されたときに,参議院議長は終了を宣言することになります。これにより,緊急集会は終了します。

 

(佐藤(幸)・日本国憲法論p453,野中ほか・憲法Ⅱp122,木下ほか・新・コンメンタール憲法p487参照)

 

 

 

教授
緊急集会において,天皇の召集は必要とされていますか? 
学生
いいえ,緊急集会は国会の召集とは異なり国事行為ではないので,天皇の召集は必要とされていません。

 

(長尾・日本国憲法[第3版]p369[全訂第4版]p206,野中ほか・憲法Ⅱp121参照)

 

 

 

 

教授
緊急集会を求める権能が内閣のみに属するとなると,議案の発議権も内閣のみに専属するとして,これにより議員による議案の発議は一切行うことができないのですか? 
学生
いいえ,そのようなことはありません。内閣の示した案件に関連するものに限ってではありますが,議員による議案の発議も認められています(国会法101条)。請願についても,同様に取り扱われています(国会法102条)。

 

 

(佐藤(幸)・日本国憲法論p453,野中ほか・憲法Ⅱp121,木下ほか・新・コンメンタール憲法p487参照)

 

 

 

 

教授
緊急集会において,内閣総理大臣の指名や憲法改正の発議を行うことができますか? 
学生
いいえ,できません。緊急集会は,参議院が国会に代わって,緊急案件について,臨時的,応急的,暫定的措置をとるころに実質的意義を有しますので,内閣総理大臣の指名や憲法改正の発議を行うことができないと解されています。

 

 

(長尾・日本国憲法[第3版]p370[全訂第4版]p206,木下ほか・新・コンメンタール憲法p488参照)

 

 

 

教授
それでは緊急集会において,内閣に対する不信任の決議を行うことができますか? 
学生
いいえ,できません。なぜなら,緊急集会の権能は,国会の権能に属するものでなければならないところ,内閣に対する不信任の決議は,衆議院の権能に属するものであって,緊急集会の権能には属さないからです。

 

 

(長尾・日本国憲法[第3版]p370[全訂第4版]p206参照)

 

 

 

 

教授
緊急集会においても,発言・表決の免責特権(憲法51条),不逮捕特権(憲法50条,国会法100条)を参議院議員は享受することができますか? 
学生
はい,できます。

 

(野中ほか・憲法Ⅱp122,木下ほか・新・コンメンタール憲法p487参照)

 

 

 

教授
緊急集会において採られた措置について,次の国会開会の後10日以内に,衆議院の同意がない場合に,該緊急集会でとられた措置の効力はどうなりますか? 
学生
憲法第54条第3項は「・・・緊急集会において採られた措置は,臨時のものであって,次の国会開会の後10日以内に,衆議院の同意がない場合には,その効力を失う。」旨規定しています。従いまして,衆議院の同意が得られない場合,緊急集会で採られた措置の効力は失われます。

 

 

 

教授
緊急集会で採られた措置の効力は,過去に遡って失われることになるのですか?
学生
いいえ,そうではありません。緊急集会で採られた措置の効力は,過去に遡って失われるものではありません。将来に向かって,失われます。

 

 

(佐藤(幸)・日本国憲法論p453,野中ほか・憲法Ⅱp122参照)

 

 

 

日本国憲法
第五十四条  衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2  衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3  前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

 

 

緊急集会と臨時会の比較のため,以下に条文掲載します。

     臨  時  会           緊 急 集 会  
第五十三条  内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第五十四条  衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2  衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3  前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

 

[参考文献]

日本国憲法 橋本公亘 著 有斐閣
日本国憲法論 佐藤幸治 著 成文堂
日本国憲法[第3版][全訂第4版] 長尾一紘 著 世界思想社
憲法Ⅱ 第5版 野中俊彦 中村睦男 高橋和之 高見勝利 著 有斐閣
新・コンメンタール憲法 木下智史・只野雅人[編] 日本評論社

など

以上の記述の正誤につきましては,是非ご自身の基本書,テキスト等によりご検証,ご確認ください。                               以  上

 

 

 

 

 

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