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[認定考査・択一民訴]民訴法228条4項の二段の推定とは・・・   その2

投稿日:2017年4月13日 更新日:

 

民訴法228条4項の二段の推定って,・・・・・本当のところ分からないんですけど!
結局,どうなっているんですか? この疑問に,私なりにお答えします。
そ の 2

(前回は,一段目の推定についてお話ししましたが,今回は二段目の推定です。前回の「その1」を読まれていない方は,「その1」をお読みになってください。)

さて,
次に二段目の推定です。

 

初めに
「私文書は,本人又はその代理人の署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」(民訴法228条4項)
との規定をあげました。

 

そして,この民訴法228条4項に判例に使われている文言を入れて読み替えました。

 

「私文書は,本人又はその代理人の <その意思に基づく> 署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」
と読み替えました。

 

<その意思に基づく>とは,一段目の推定に関するものであることは,前回申し上げました。

 

それでは,「私文書は,・・・・真正に成立したものと推定する。」の「私文書は・・・真正に成立した」とは,何のことを言っているのでしょうか?

 

これは,「文書の成立の真正」のことを言っています。

 

ここで,はっきりと「文書の真正」の定義を確認しましょう。
<文書の真正とは,作成者の意思に基づいて文書が作成されたこと>を意味する。

 

この文書の真正の定義を,判例の一段目の推定に関する文言とともに民訴法228条4項にあてはめて読みやすく書き換えてみます。
そうすると,民訴法228条4項は

 

「私文書に,本人の <その意思に基づく> 署名又は押印があるときは,当該私文書は<本人の意思に基づいて作成された文書>であると推定する。」(取敢えず代理人考えない)

と,こうなります。

 

以上,二段の推定をまとめると以下のようになります。

 

1 本人の専用にかかる印章の印影が,文書に顕出されていれば,かかる押印は,本人の意思に基づくものと推定される。(一段目の推定)
2 押印が本人の意思なら,押印されて印影が顕出されているその文書じたいも,本人認識のもと,その意思により作成されたものであろうと推定される(二段目の推定)。

 

このような論理の流れで,文書の成立の真正を推定していくのが,民訴法228条4項ということになります。

 

別の言い方をすると,このような論理の流れで,作成者の意思に基づいて文書が作成されたことを推定していくのが,民訴法228条4項ということになります。

これを,二段の推定といっているのです。

 

それでは,「本人の <その意思に基づく> 署名又は押印があると」なぜ,「当該私文書は<本人の意思に基づいて作成された文書>であると推定する。」ことになったのでしょうか?

 

それは,文書に人の意思に基づく署名又は押印があれば,その文書は,作成者とされる者の意思に基づいて作成されたと認められることが多いという経験則があるからです。

 

このように「意思に基づく」が,民訴法228条4項には実質的に2回登場してくることになります。これが,二段の推定の理解を難しくしているようです。

 

しかし,最初の「意思に基づく」が,二番目の「意思に基づく」を推定する関係に立つと考えれば,理解は難しくありません。
最初   →  二番目
1 意思に基づく押印が,意思に基づく文書の作成を推定する。

そして,遡ると(遡り思考)

2 本人専用の印鑑の印影が,意思に基づく押印を推定する。

要は徹頭徹尾,文書の作成名義人とされる者の「意思責任」を問うているのです。

 

以上から,一段目の推定に関する判例の文言,文書の真正の定義を民訴法228条4項に落とし込んで,分かり易く大胆に読み替えると次のようになります。

 

「 作成者の意思に基づいて文書が作成されたか否かを判断するのに,本人の その意思に基づく 署名又は押印が文書にあるときは,当該私文書は,作成者本人の意思に基づいて作成された文書であると推定する。
ただし,本人の印章の印影があれば,その押印は,本人の意思に基づくことを推定する。また,本人の署名があれば,その署名は,本人の意思に基づくことを推定する。 」

これが,民訴法228条4項の正体と考えられます。

 

究極のまとめ

1 意思に基づく押印が,意思に基づく文書の作成を推定する。(二段目の推定)
2 本人専用の印鑑の印影は,本人の意思に基づく押印を推定する。(一段目の推定)
3 「意思に基づく」「推定」は(事実上の推定)
4 (事実上の推定)は特段の事情による反証を許容する。

一段目の推定は,判例により明らかにされたもの。
二段目の推定は,民訴法228条4項に書いてあるもの。(押印の前の「意思に基づく」は,判例により意味充填解釈)
そして,
1,2,3は,本人への法的責任の追及
4は,本人の法的責任の回避
以上から「意思に基づく」の乱れ打ちが判明。
それは,なぜか。
「自分のあずかり知らぬところで勝手にやられたことの責任はとれませんよ。」
この一言につきます。

以    上

 

追記 顕名代理,署名代理の場合の私文書の作成者は,本人か代理人か,一体誰かという議論はありますが,とりあえず置いておきます。
また,民訴法228条4項は,法定証拠法則を規定したものと言われています(法定証拠法則説)。

 

 

 

 

 




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